ぱんまんブログ

【iDeCoで損!?】退職金が多い人は要注意!損してしまう受け取り方とは?

f:id:niitou:20220106144013j:plain

将来のためにお金を積み立てるだけで、所得税・住民税の節税効果があり、運用した場合は、利益が非課税になるという制度が【iDeCo】です。

最近では投資系の書籍やブログ、YouTubeで多く取り上げられ、加入者もうなぎ登りです。

一見デメリットが無く、お得という印象が強いiDeCoですが、皆さん出口(受給方法)についてはしっかりと検討していますか?

もしかすると、受け取る際に多額の税金を納める羽目になってしまうかもしれませんよ。

 

 

iDeCoは受け取る時に、所得税・住民税がかかる?

原則60歳になると、積み立てた金額を受け取ることができるようになりますが、受け取る際は税金がかかるということを知っておきましょう。

iDeCo【年金・一時金・年金と一時金の組み合わせ】の3種類から受け取り方法を選択することができますが、この選択を間違えることで、大きな損を出してしまいます。

実際に損をしてしまう受け取り方のパターンをみていきたいとおもいます。

 

Aさん【勤続30年・退職金1,200万・iDeCo500万を一時金として受給】

iDeCoを一時金として受け取る場合【退職所得】として受給することになります。

退職金の合計金額
Aさんの退職金の合計
退職金1,200万+iDeCo500万=1,700万円
退職所得控除の金額

退職金控除とは、退職金の税金を計算する際に控除される金額のことです。勤続年数ごと、以下の表にそって算出します。

勤続年数 退職所得控除額
20年以下 40万円×勤続年数
20年超 800万円+70万円×(勤続年数ー20年

参照:退職金と税|国税庁

Aさんの退職所得控除の金額
800万+700万×(勤続年数30年-20年)= 1,500万円

 

課税退職所得の金額

課税退職所得とは、実際に課税される金額になります。

(収入金額(源泉徴収される前の金額)-退職所得控除額)× 1/2

参照:No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)|国税庁 (nta.go.jp)

で算出されます。

Aさんの課税退職所得額の金額
(退職金の合計額1,700万円-退職所得控除1,500万)×1/2= 100万円

 

所得税

所得税額は、課税退職所得に応じて、以下の表より算出します。

課税退職所得金額 税率 控除額
1,000円から1,949,000円まで 5% 0円
1,950,000円から3,299,000円まで 10% 97,500円
3,300,000円から6,949,000円まで 20% 427,500円
6,950,000円から8,999,000円まで 23% 636,000円
9,000,000円から17,999,000円まで 33% 1,536,000円
18,000,000円から39,999,000円まで 40% 2,796,000円
40,000,000円以上 45% 4,796,000円

参照:退職金と税|国税庁

Aさんの所得税
課税退職所得額100万×税率5% = 5万円

 

また、所得税に2.1%をかけた、復興特別所得税という税金も支払う必要があります。

Aさんの復興特別所得税
Aさんの所得税5万円×2.1%= 1050円

 

住民税

所得税に加えて、住民税も支払う必要があります。

住民税は、課税退職所得金額×住民税率10%で算出することができます。

Aさんの住民税額
課税退職所得額100万×税率10% = 10万円

 

Aさんの税金の合計額
Aさんの税金の合計額
5万円+1050円+10万円 = 15万1,050円

 

老後のためを考えて積立たiDeCoの500万から、15万以上引かれてしまったらショックですよね。また、iDeCoには積立期間中のは所得税などの節税効果も薄まってしまいます。退職金の見込み金額が多い人はどうしたらよいのか解説していきます。

 

退職金が多い場合の対処方法

退職金の見込み金額が多い場合は、iDeCoの受け取りを【年金or年金と一時金の組み合わせ】にすることで支払う税金を抑えることができます。

 

Aさん【勤続30年、退職金1,200万、iDeCo500万】の対処

  • iDeCo300万を一時金として受給
  • iDeCo200万を年金として受給

 

iDeCo300万を一時金として受給する理由
  金額 計算方法
退職金 1,200万円  
iDeCo受給金額 500万円  
退職所得控除額 1,500万円 800万+700万×(勤続年数-20)

退職所得控除額が1,500万円あるため、退職金1,200万円+iDeCo300万円までであれば、非課税で受給することができます。

そして、iDeCoの残り200万円は、年金として毎年受給していきます。

iDeCoを年金で受給する際の注意

年金としてiDeCoを受給する場合、公的年金等に係る雑所得として計算されます。

下の表にある通り、60歳未満は年間60万円までであれば、税金が発生しない仕組みとなっているため、iDeCo200万円を60万円ずつ毎年受給していくことで、税金を抑えることができます。

 

  公的年金等の収入金額 公的年金等に係る雑所得の金額
65歳未満の方 60万円以下 0円
60万円超130万円未満 収入金額ー60万円
130万円以上410万円未満 収入金額×0.75 ー27万5千円
410万円以上770万円未満 収入金額×0.85 ー68万5千円
770万円以上1,000万円未満 収入金額×0.95 ー145万5千円
1,000万円以上 収入金額ー195万5千円
65歳以上の方 110万円以下 0円
110万円超330万円未満 収入金額ー110万円
330万円以上410万円未満 収入金額×0.75 ー27万5千円
410万円以上770万円未満 収入金額×0.85 ー68万5千円
770万円以上1,000万円未満 収入金額×0.95 ー145万5千円
1,000万円以上 収入金額ー195万5千円

参照:高齢者と税(年金と税)|国税庁

ポイント!
公的年金は65歳からの受給が原則となっていますが、60歳から受給することもできます。その場合、iDeCoとの合計金額が60万を超えないよう注意が必要です。

 

iDeCoを年金で受給する際の手数料

iDeCoを年金で受給する場合、税金は抑えることができますが、その代わりに手数料が発生します。SBI証券楽天証券の場合の手数料は以下の通りです。

手数料 金額
口座管理手数料 66円/月
給付手数料 440円/1回

※こちらについては、自身の加入している会社により異なるので、ご確認ください。

 

Aさん(iDeCo200万を60万ずつ、4年間で受給)の手数料
口座管理手数料:66円×12か月×4年 = 3,168円
給付手数料:440円×4回 = 1,760円
合計:4,928円(一時金としてもらうと税金が15万1,050円かかる)

 

ただ、税金15万以上払うのと比較すると、安く抑えることができます。

iDeCoの場合、積立期間中の金額は所得税・住民税の控除・運用益の非課税とお得な制度でもあり、手数料分だけであれば、運用益などで賄える場合がほとんどです。

 

まとめ

iDeCoに加入するときは、目先の所得税・住民税の節税に目がいきがちですが、出口戦略が重要です。

今回のケースのように退職金が多い方の場合、税金を多く支払う羽目になってしまいます。

受給はまだ先だから、その時になったら考えればよいと思っていると、大損する可能性もあります。

今後、受給する際の税金に対しても改正があるかもしれませんので、しかりと把握しておくことが重要です。